50代を過ぎた今、年々記憶は曖昧になりつつあります。それでも、心の奥にしっかりと残り続ける記憶があるんです。
先日テレビで言っていた「人の記憶に残るのは、感情が大きく動いた瞬間」なのだそう。まさにその通りだなぁと、うなずいてしまいました。
今回は、20代の頃に経験した、今も大切にしているエピソードをお話しします。どなたかの心にも、そっと温かいものを残せたらうれしいです。
ただの義理チョコが人生の宝物に変わった話
ホワイトデーが近づくと、いつも思い出すことがあるんです。
それは20代、まだ社会人になったばかりの頃。当時の職場は男性社員ばかりの部署でした。
バレンタインには義理チョコを配るのが恒例で、正直なところ、めんどくさいな~と思いながら、なんとなくチョコを配っていました。

あーめんどい・・・
そんな気持ちで渡したチョコだったのに、ホワイトデーには素敵なお返しをチャッカリいただいておりました。しかも私が贈ったささやかな義理チョコとは比べ物にならないほど素敵なお返しの品が多かったんです。

なんか得した~!という気分になっていたものです(笑)
そんな数々のお返しの中で、今でも強烈に記憶に残っている、ある上司からのプレゼントがありました。

なになに?超高級なもの?

いえいえ、損得勘定には敏感な私ですが(笑)そんなもんでは心は動きまへん
それは、お返しの品に添えられていた、一枚のメッセージカードでした。

え?それだけ?品物じゃないの?
そーなんです。品物は・・・なんだったかもう忘れてしまいました(笑)
ですがね~。なんでこれが記憶に残っているかというと・・・。

義理のお返しに、わざわざメッセージカードを添えてくれる人って、なかなかいないんですよ。
それまでの人生を振り返っても、そんな心遣いをしてくれる人にはほとんど出会ったことがありませんでした。いや、本命の相手にすら、メッセージカードのような「ひと手間」をかける人は少ないんじゃないでしょうか。

たしかに。そのひと手間が意外にできない。
そこには、私の日々の仕事ぶりをちゃんと見てくれていたことが伝わる、温かい言葉が綴られていました。もしそれが、どこにでもありそうな定型文だったら、それは忘れられないほどの記憶にはならなかったことでしょう。
なので、めちゃくちゃうれしかったのを覚えています。
その上司は仕事ができる人で、社内でも一目置かれていた存在。「義理のお返しにメッセージを添える」そんな“ひと手間”をかけてくれた上司に対して、私はこう思ったんです。

本当にできる人は、こういう小さな心配りができるんだな~。
私の心は大きく動きました。
びっくらこいた衝撃の暑中見舞い
もう一つ、20代の頃の忘れられない出来事があります。
それは、大学時代の友人から届いた暑中見舞いのハガキ。それが、本当にびっくりするようなものだったんです!
ハガキいっぱいに、信じられないほどの小さな文字で、びっしりと近況が書かれていたんです。もう、余白なんてほとんどないくらいに!
普通、ハガキってそんなにたくさんの文字を書かないですよね?それに、定型文で済ませることが多いんじゃないでしょうか。

何が書いてあったの?

いや、それは忘れました(笑)そのハガキも失くしてしまいました(笑)
でも、あんなにも衝撃的な暑中見舞いを受け取ったのは、後にも先にも、この一度きり。その驚きと、友人の個性的な表現に、私の心は大きく動いたんです。だからこそ、今でも鮮明に記憶に残っているんですよね。
「ひと手間」かけることの豊かさ
メッセージカードも、びっしり書かれたハガキも、共通しているのは「ひと手間」かけてくれたこと。誰かの心に届くものって、きっと「ちょっと面倒なこと」を惜しまなかった、その気持ちなんですよね。
そして、その「ひと手間」こそが私の心を大きく動かし、忘れられない記憶として今も残っているんだと思います。
だから私も、誰かに何かを贈るときや、特別な出来事があった時には、できる限りメッセージカードや手紙を書くように心がけています。内容も、どこにでもあるような定型文ではなく、自分の言葉で綴るようにしています。
今は、LINEやメールで手軽に連絡できる時代じゃないですか。だからこそ、わざわざ書くひと手間は、いっそう特別に感じられると思うんですよね。誕生日、バレンタインデー、ホワイトデー。卒業祝い、進級祝い、就職祝い、ちょっとしたお礼などなど。ひと手間かけることで・・・

相手の記憶に残るかも・・・・しれませんよ~(笑)
たとえ、相手の記憶に残らなくても、相手のことを思いながら作ったもの、その時間そのものが、私たちの心を豊かにしてくれるような気がするんです~。
まとめ
- 記憶に残るのは、「ひと手間」を惜しまない気持ちと「心が動いた体験」
- 誰かの記憶に残らなくても、誰かを思いながら過ごす時間そのものが、自分自身の豊かさにつながる。

そのひと手間が、豊かさを生む