「期待を裏切らないように頑張ります!」と意気込んでいても、「期待に応えられない」ことってありませんか?
期待をかけられることで、逆にやる気がみなぎってくることもありますが、その期待に応えなきゃと思うとプレッシャーになることだってありますよね。
そう、ホントは期待なんかに応えたくない!
私は、期待に応えらなかったらどうしよう~って思っちゃうよ。
期待に応えることに必要以上に力んでしまうとき、
いやいや、その思いがあるからこそ貴重な体験ができるよ、と
50代の私が、今までの人生経験とたくさんの読書から得た視点もふまえて、ヒントになりそうな映画を、ちょっとだけネタバレも含めて、ご紹介しますね。
どうぞ、お役にたちますように・・・。
自由奔放な主人公と、親の期待や世間の常識にしばられている友人たち
「きっと、うまくいく」 2013年公開 インド映画
この映画の評価は高いんですが、視るまでは題名からして、どんなことがあってもきっとうまくいくストーリーという、よくある物語じゃないかって思ってたんですよね。
ハイ、むっちゃ、心動きました。オススメです!(笑)
3時間ぐらいと長いんですが、長さを感じることもなく、歌あり、ダンスあり、笑いあり、涙あり、感動ありありで、最後まで飽くこともなく見入ってしまいました。
何がそんなにいいの?
超エリート工科大学で出会った主人公を含む3人が、友情を深めながら、人生とは、学びとはという問いに、それぞれがそれぞれの答えを見いだしていく物語なんですね。
自由奔放に生きている主人公と、自分のやりたいことより親の期待に応えることに何の疑いももたなかった主人公の友人たち。
そんな一見、ハチャメチャに見える主人公に、まわりはどんどん影響されていくんです。
主人公の生き様から考えさせられることもたくさんありましたが、
私が今回この映画を観て、心が動き、そしてお伝えしたいのは
主人公に出会い影響をうけながらも、自分のやりたいことより親の期待や世間の常識から抜けきれなかった友人たちの葛藤にフォーカスして、お話しようと思います。
とかく、成功ストーリーって、その成功者にフォーカスしがちなんですが、
私はより現実的に、また自分に近い人の心の動きの方に意識がいくんですよね。
確かに。そっちの方が感情移入できそうだ。
期待に応えない決意をしたとき
この映画は、インド映画で、私は今までインド映画というのを見たことがなかったんですね。
だから、この映画を通して、インドという社会について知ることもできました。
インドは、学歴社会、競争社会であるということ。
子どもが誕生したとたんに、親は子どもに夢を託します。
その夢とは、将来は高収入のエンジニアか医師になってもらうこと。貧富の差が激しい国ゆえに、子どもに稼いでもらいたい。
それが多くのインド人が抱く幸せのかたちのひとつだと。
だから親は貧しくても日々節約に専念し、子どもには勉強できるいい環境を与えるんです。
それが結構ユーモアたっぷりに描かれているので、悲壮感が感じないのも、この映画の魅力のひとう。
そして主人公はそんな学歴競争社会に疑問をもち、学びとは点数をとるためにすることじゃない、自分が本当に情熱を掲げられるものにこそ学びがある、と主張するんです。
どんな相手にも臆することなく自分の意見を主張するシーンは、見ていてほんとスカッしましたね~。
でも私が心動いたのは、主人公の姿ではなく、親の期待や世間の常識に苦悩する友人たちです。
その友人の一人が、ある行動を起こします。
そして、本当に大事なものを、大事にしたいと思うものを見つけていくんです。
それを現すこんなシーンがありました。就活での面接シーンです。
その友人は、面接官に自らの過去や思いを隠すことなく話すんです。
すると、それを聞いた面接官は、こう言います。
「正直でいいが、君はわが社にはふさわしくないようだ。」
(中略)
「だがその正直さを仕事では抑えられるという約束なら、考慮してもいい」
引用:「きっと、うまくいく」
この面接官の言葉に、友人が口にした言葉に、涙なしでは見られませんでしたよ~。
何て言ったの~??
それは映画を見て、感じ取ってくださいね。
ただ、このシーンに私が何を見たかというと・・・・。
今までずっと誰かの期待に応えていた彼が、初めて誰の期待にも応えず、自分の意志で自分の思いを語ったんです。
期待に応え続けてきた人にとって、親だろうが親以外だろうが、誰かの期待に応えないこと
あるいは、期待に応えられない自分を受け入れるのって、とても勇気がいることだと思うんです。
だから彼が言った言葉に、その重みを感じましたし、私の心は大きく動きました。
どんなふうに描かれているのか、ぜひ意識して観てほしいシーンです。
期待に応えられないからこそ、得られるもの
私たちは、誰かの期待に「勝手に」応えようとするし、また同時に誰かに「勝手に」期待します。
え~、勝手じゃないと思うけどな~。
小さい頃、まだ自分でいろんな判断ができないときって、親が言うことが絶対で全てだと思っていたはずです。
だから親の言う通りに行動する。それは親の期待に応えること。だって親に愛されたいですから。
でも、成長していくと、今度は親じゃない別の誰かからの期待にも応えようとしてしまう。
それは、いつしか期待に応えるということが自分の存在証明となり、期待に応えられるうちはいいんですが
応えられなくなると自分の存在価値がないかのように錯覚してしまい、さらに頑張りつづけてしまうという、負のループへはまっていくこともあるんですよね・・・。
意識してないけど、応えられない自分は価値がないって思ってるのか・・・。
はい、私がそうでしたっ!今もあるあるですっ!
だから期待に応え続けることは、その期待に応えられなかったら、という不安がつきまとうことが多いんです、
だからといって期待に応えようと頑張り続ける姿は、決して愚かな姿ではなく、一生懸命に生きている姿だとも思いませんか?
だからこそ!気づける大きな体験があるんです。
この映画では、そんな体験は宝なんだよと感じさせれ、私も観ながら追体験できました。
主人公のように、まわりに影響を与えて目立つヒーローも、そりゃかっこよくて憧れる存在ですが
期待に応えようとする姿、でも応えられない、応えたくないと苦悩する姿は、とても人間らしく、
それでも大丈夫。「きっと、うまくいく」と感じさせられます。
なくしてしまいたい過去やイヤな自分、経験してきたことすべてが自分の宝だとしたら、
「きっと、うまくいく」ではなく、もうすでに「うまくいっている」んだなって思えた作品でした。
なので、とてもオススメする映画です。ぜひハンカチを片手に観てみてくださいね~。
まとめ
- 期待に応え続けてきた人は、期待に応えられなかったらどうしようという不安がある。
- それがあるからこそ、貴重な体験ができる。体験はすべて宝。
- 理想と現実の中で、自分にとって大事なものは何かということを探っていく登場人物たちのその葛藤が、この映画「きっと、うまくいく」の見どころのひとつだと感じました。
ぜひ、追体験してきてくださいね~。